白駒の池の苔の森|苔が育つ環境を庭師目線で原生林から観察

庭の石や地面に苔を育てたいと思っても、なかなか思うようについてくれないことがあります。

では、苔が一面に広がる自然の森では、いったいどんな環境がつくられているのでしょうか。

今回は、長野県・北八ヶ岳にある白駒の池周辺の苔の原生林を歩きながら、庭師の目線で苔が育つ環境を観察しました。

倒木、岩、水分、樹木、木漏れ日。

森の中をじっくり見ていくと、庭で苔を見るときにも参考になるヒントがたくさん隠れています。

白駒の池の苔の森を動画で見る

今回の動画では、実際に白駒の池周辺を歩きながら、苔、倒木、根上がり木などを観察しています。

白駒の池周辺には苔の原生林が広がる

白駒の池は北八ヶ岳にあり、その周辺にはコメツガ、トウヒ、シラビソなどの原生林が広がっています。

そして足元を見ると、岩や地面、倒れた木まで、一面が苔に覆われています。

白駒の池周辺では500種類近い苔が見られるとされ、日本蘚苔類学会から2008年に「日本の貴重なコケの森」に認定されています。

動画を撮影した日は雨も降っていて、苔が水分を含み、森全体がより濃い緑に包まれていました。

苔はどんな環境で育つのか?

白駒の池を歩いていて印象的なのは、「土のある地面」だけに苔が生えているわけではないことです。

大きな岩の上、木の根元、倒木の表面など、さまざまな場所に苔が広がっています。

一般的な樹木は根を地中に伸ばして水分を吸収しますが、苔には樹木のような本当の根はありません。

苔には「仮根」と呼ばれる体を固定するための部分があり、水分は主に植物体の表面から取り込みます。

そのため、苔を見るときには「どんな土か」だけではなく、周囲にどれくらい水分があり、乾燥しにくい環境になっているかを見ることも重要です。

岩だらけの場所から森ができていく

北八ヶ岳は火山活動によって形成された山域で、白駒の池周辺でも大きな岩が多く見られます。

動画の中では、ほとんど土がないように見える岩の表面にも苔が広がっていました。

そこに有機物がたまり、長い時間をかけて植物が育つ環境がつくられていきます。

人間が最初から植栽して完成させた場所ではありません。

岩、苔、倒木、樹木が長い時間をかけて関係し合いながら、現在の森の景色がつくられています。

倒木は次の木が育つ場所になる

今回の森で特に面白かったのが、倒れた木の上に苔が生え、その上からさらに新しい木が育っている姿です。

木が倒れると、それで役目が終わったように見えます。

しかし森では、倒木も次の植物が育つための土台になります。

倒木の表面に苔が広がり、その上で小さな樹木が育つ。そして長い年月をかけて下の倒木が朽ちていくと、木の根元に空洞が残ることがあります。

これが動画でも紹介している「根上がり木」です。

現在目の前にある一本の木だけを見るのではなく、その木がどこから育ってきたのかまで想像すると、森の見え方が大きく変わってきます。

自然の森は庭づくりのお手本でもある

この森を歩いていると、「人がつくった庭のようだ」と感じる場所が何度もありました。

ところが、本当は逆です。

庭というのは、自然界にある景色や植物の関係を、人間が身近な場所に再現してきたものとも考えられます。

白駒の池の森では、人間が自然をつくるのではなく、人間の方が自然の中へ入っていきます。

岩の配置、木々の間隔、苔の広がり方、倒木、光の入り方などを見ていると、「庭らしい景色」の原型が自然の中にあることに気づかされます。

庭に苔を育てたいときにも環境を見る

今回の動画は、苔庭の具体的な施工方法を解説するものではありません。

ただし、自然界で苔がどんな場所に生えているのかを観察することは、庭の苔を考える上でも大きなヒントになります。

  • 水分が保たれやすい場所か
  • 強い直射日光にさらされ続けていないか
  • 岩や倒木など苔が定着できる場所があるか
  • 周囲の樹木によって森のような環境がつくられているか
  • 乾燥と湿潤を繰り返す場所なのか

「苔だけ」を見てどう育てるか考えるのではなく、その周囲まで含めて環境を見る。

白駒の池を歩いていると、そのことの大切さを感じます。

苔を近くで見ると景色が変わる

遠くから見ると、一面の緑に見える苔の森。

しかし近づいて観察すると、一つの種類だけで森を覆っているわけではありません。

種類によって形も違い、タイミングによっては胞子をつくるための構造が立ち上がっているものも見られます。

一つひとつは小さな植物ですが、それらが集まることで、私たちが「苔の森」と感じる大きな景観がつくられています。

白駒の池までは駐車場から徒歩約15分

白駒の池は、国道299号沿いの白駒の池入口付近から歩いて約15分と案内されています。

池までの道には木道も整備されており、その短い区間だけでも苔に覆われた原生林の雰囲気を楽しむことができます。

木道には人が歩きやすくなるだけでなく、苔や樹木の根を踏みつけないようにする意味も感じました。

一方、今回動画で歩いた高見石方面は、池までの散策とは状況が変わります。

撮影日は雨の影響もあり、登山道に水が流れている場所や岩場もありました。高見石方面まで進む場合は、天候や路面状況を確認し、登山に適した靴や装備、十分な時間を確保してください。

白駒の池の苔の森でよくある疑問

白駒の池にはどのくらい苔がありますか?

北八ヶ岳では500種類近い苔が見られるとされています。白駒の池周辺の原生林は、日本でも貴重な苔の観察地として知られています。

白駒の池まで歩くのにどのくらいかかりますか?

国道299号沿いの駐車場から白駒の池までは、徒歩約15分が目安とされています。天候や路面状況によって歩きやすさは変わります。

苔は根から水を吸わないのですか?

苔には樹木や草花のような本当の根がなく、体を固定する仮根があります。水分は主に体の表面から取り込みます。そのため、苔を観察するときには周囲の水分環境にも注目すると面白くなります。

庭に苔をつける方法も分かりますか?

今回の動画は苔庭の施工方法を直接解説する内容ではありません。ただ、苔が自然界のどんな場所で育っているのかを観察することで、自宅の庭との環境の違いを考えるヒントになります。

苔を見るなら森全体を観察してみる

白駒の池の苔の森を歩いて感じたのは、苔だけを切り離して見るのではなく、森全体を見る面白さです。

倒れた木が次の木を育て、岩を苔が覆い、その間からまた植物が育っていく。

小さな苔の周りには、長い時間をかけてつくられた森の循環があります。

庭に苔がある方も、これから苔を楽しみたい方も、一度自然の中で「苔がどんな環境を選んでいるのか」という目線で観察してみると、普段とは違った植物の見方ができるのではないでしょうか。

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