根古屋神社の大ケヤキ|樹齢700〜800年の田木・畑木と豊作を占った伝承

オモシロ植木雑学

山梨県北杜市須玉町江草にある「根古屋神社」には、拝殿の前に2本の巨大なケヤキが立っています。

向かって左が「田木(たぎ)」、右が「畑木(はたぎ)」。いずれも樹齢700〜800年といわれる老木で、2本合わせて「根古屋神社の大ケヤキ」として国の天然記念物に指定されています。

さらに興味深いのが、単に大きく古いだけではなく、かつて地域の人々が2本のケヤキの芽吹きや葉の茂り方を見て、その年の農作物の豊凶を占ったという伝承です。

今回は実際に根古屋神社を訪れ、田木と畑木の圧倒的な幹の太さや長い年月を刻んだ姿、そして木と地域の暮らしが結びついてきた歴史を庭師の視点から観察しました。

根古屋神社の大ケヤキ「田木・畑木」を動画で確認

動画では、2026年8月10日に根古屋神社を訪れ、2本の大ケヤキを実際に歩きながら観察しています。

写真だけでは伝わりにくい幹の圧倒的な太さや、空洞、補修された部分、道路へ大きく枝を伸ばす姿など、長い時間を生きてきた巨木ならではの迫力をぜひ映像でご覧ください。

根古屋神社には樹齢700〜800年といわれる大ケヤキが2本ある

根古屋神社の大ケヤキは、山梨県北杜市須玉町江草にあります。

北杜市の資料では、2本はいずれも樹齢700〜800年といわれる老木と紹介されています。

神社の拝殿に向かって左側のケヤキが「田木」、右側が「畑木」です。

境内に1本だけでも驚くほどの巨木ですが、それほど長い年月を生きてきたケヤキが、拝殿を挟むように2本残っていることが根古屋神社の大きな特徴です。

田木と畑木は国の天然記念物「根古屋神社の大ケヤキ」

根古屋神社の2本のケヤキは、1958年(昭和33年)5月15日に国の天然記念物に指定されています。

山梨県の文化財データベースでは、現在の規模として、田木は目通り幹囲13.19m・樹高21.5m、畑木は目通り幹囲12.23m・樹高23.5mと紹介されています。

数字だけでも大きさが伝わりますが、実際に近くへ立つと、人と比べたときの幹の太さや樹皮の凹凸、長い年月によってできた空洞などから、さらに強烈な存在感を感じます。

なぜ「田木」と「畑木」?芽吹きで豊作を占った2本のケヤキ

この2本が「田木」「畑木」と呼ばれる理由には、農業と深く結びついた地域の伝承があります。

田木の芽吹きや葉の茂りが良い年は水田の稲作が豊作になり、畑木の状態が良い年は畑作物が豊作になるといわれてきました。

つまり、地域の人々にとって2本のケヤキは単なる巨木ではなく、その年の農作物を占う存在でもあったのです。

現在のように詳細な気象データを簡単に確認できなかった時代、身近な植物の芽吹きや成長を注意深く観察して季節の変化を感じ取っていたことを想像すると、とても興味深い伝承です。

田木と畑木は地域の暮らしと信仰を支えてきた巨木

北杜市の資料では、根古屋神社の大ケヤキは、農業を営んできた地域の人々にとって「占いと信仰の対象」であったと紹介されています。

毎年春になれば、人々は田木と畑木の芽吹きを見ながら、その年の作物がどうなるのかを考えていたのでしょう。

何百年もの間、同じ場所に立ち続けている木だからこそ、世代を超えて観察され、地域の暮らしの中に意味を持つようになったのかもしれません。

巨木を見る楽しさは、その大きさだけではありません。その木が長い時間の中で地域の人々とどのような関係を築いてきたのかを知ることで、見え方が大きく変わります。

長い年月を生きたケヤキには空洞や補修の跡も残る

現地で特に印象に残ったのが、幹に残る大きな空洞や補修の跡です。

北杜市によると、これらのケヤキは長い年月の中で風雨による被害を受け、昭和58年や平成11〜13年度に大規模な樹勢回復工事が行われています。

動画でも、幹の空洞を補修したと思われる部分や、樹体を保護するための処置を見ることができます。

古木というと、何百年もの間ずっと変わらない姿で立っているように感じますが、実際には枝を失い、傷み、修復されながら現在まで生き続けています。

庭師として感じた根古屋神社の大ケヤキの魅力

庭師として巨木を見ると、幹の太さだけでなく、枝の伸び方や空洞、枯れた部分、周囲の地形や水の存在などにも目が向きます。

今回訪れた根古屋神社では、巨大な岩や神社の建物、道路などに囲まれた限られた場所に2本のケヤキが立っています。

決して広々とした場所ではありません。それでも長い年月を生き続け、道路側へ枝を伸ばし、大きな木陰を作っている姿には圧倒されました。

また、すぐ近くでは水の流れる音も聞こえます。こうした周辺環境まで含めて観察すると、「なぜこの場所でこれほど長く生きてきたのだろう」と、巨木を見る楽しみがさらに広がります。

根古屋神社の大ケヤキの所在地と見学情報

  • 名称:根古屋神社の大ケヤキ
  • 所在地:山梨県北杜市須玉町江草5336
  • 樹種:ケヤキ
  • 文化財指定:国指定天然記念物
  • 指定日:1958年(昭和33年)5月15日
  • 田木:拝殿に向かって左側
  • 畑木:拝殿に向かって右側

根古屋神社は観光施設ではなく神社の境内です。見学の際は、巨木や周囲の設備へ触れたり傷つけたりせず、参拝者や地域の方への配慮を忘れずに見学しましょう。

根古屋神社の大ケヤキでよくある質問

根古屋神社の大ケヤキの樹齢は何年ですか?

北杜市では、田木・畑木ともに樹齢700〜800年といわれると紹介しています。樹齢は推定値であるため、「約800年」と断定するよりも、700〜800年といわれる古木として捉えるのが適切です。

田木と畑木はどちらにありますか?

根古屋神社の拝殿に向かって左側が田木、右側が畑木です。2本とも非常に大きいため、境内に入るとその存在感をすぐに感じられます。

なぜ田木と畑木という名前なのですか?

田木の芽吹きが良い年は稲作、畑木の状態が良い年は畑作物が豊作になるという言い伝えに由来します。地域の農業と深く結びついた名前です。

根古屋神社の大ケヤキは天然記念物ですか?

はい。2本のケヤキは「根古屋神社の大ケヤキ」として、1958年5月15日に国の天然記念物に指定されています。

根古屋神社の田木・畑木は大きさだけではない物語を持つ巨木

根古屋神社の大ケヤキは、樹齢700〜800年といわれる2本の巨木が同じ境内に残っているだけでも、十分に見応えがあります。

しかし、さらに面白いのは「田木」と「畑木」という名前と、芽吹きを見て農作物の豊凶を占ったという地域の伝承です。

長い時間を生きる木には、その土地の自然だけでなく、人々の暮らしや記憶まで重なっていきます。

山梨県北杜市を訪れる機会があれば、ぜひ根古屋神社で2本の大ケヤキを見上げてみてください。実際の幹の太さや現地の空気感は、動画でも紹介しています。

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